追跡 税金のゆくえブラックボックスを暴く
67兆円。この金額は過去最高額を更新した2021年度の税収だ。近年、税収は右肩上がりで、それに合わせて私たちの租税負担率も上がっている。
では、集められた税金は無駄なく活用されているのか。そんな素朴な疑問から取材を始めてみると、そこには愕然とする現実が横たわっていた。一般社団法人を介した“中抜き”を黙認する政府。政府も内訳の詳細が分からない五輪予算。コロナ禍におけるゼロゼロ融資の不正利用。孫の小遣いとなる中山間地域への補助金。使われぬまま放置される巨額の基金─。増税という選択肢を取る前に、こうした状況を改善する必要があるのではないか。約3年にわたって粘り強く取材を続けてきた若手新聞記者が、税金の無駄遣いの実態を克明に記す。
目次
まえがき
第1章:官僚も黙認する中抜き
――一般社団法人という隠みの
第2章:ブラックボックスの五輪予算
――うま味だらけの人件費単価
第3章:バラまかれたコロナ支援金の行方
――ゼロゼロ融資、病院支援の副作用
第4章:地域のしきたりが搾取する公金
――遊興費へと消える消防団員の報酬と農業補助金
第5章:名ばかりのワイズスペンディング
――膨らむ防衛費と積み上がる基金
あとがき
著者紹介
高橋祐貴(たかはしゆうき)
神戸市出身。慶應義塾大学文学部卒業。2014年、毎日新聞社入社。和歌山支局、岡山支局を経て’19年から東京本社経済部。金融や経済産業省、財務省、国土交通省などを担当し、これまでにメディア・アンビシャス大賞の活字部門入選(’20年)、疋田桂一郎賞(’22年度)を受賞。連載「見えない予算」「再考エネルギー」「『平和国家』はどこへ」などの企画にかかわってきた。著書に『幽霊消防団員』(光文社新書)がある。