シホンシュギカラダッキャクセヨ
2021年3月17日発売
定価:1,012円(税込み)
ISBN 978-4-334-04526-5
光文社新書
判型:新書判ソフト
資本主義から脱却せよ貨幣を人びとの手に取り戻す
豊かな現代に生きるはずの私たちが将来への不安や焦りを感じている根源的な理由の一つは、人生そのものが大きな負債(借り)を返すために成り立っているからである、と言うことができる。(中略)
しかし今や、人生の時間を投資した先に待っているのは年金さえ返ってこないかもしれない未来である。私たちの時間は、もはや不良債権になりつつある。
私たちはこの本で、違う新たなストーリーを提示したい。そこでは「返済日という未来」をずっと追いかけるのではなく、追いかけていたはずの未来こそが人生のスタート地点になるということ。つまり、ネガティブからポジティブへの反転である。 (プロローグより)
目次
プロローグ 私たちの「借金」とは何か?―高橋真矢
第一章 そもそも、お金とは何か?―高橋真矢
第二章 債務棒引き制度はなぜ、どの程度必要か―松尾匡
第三章 現代資本主義の問題点―井上智洋
第四章 私たちは何を取り戻すべきなのか―高橋真矢
第五章 銀行中心の貨幣制度から国民中心の貨幣制度へ―井上智洋
第六章 信用創造を廃止し、貨幣発行を公有化する―松尾匡
第七章 「すべての人びと」が恩恵受ける経済のあり方とは?―高橋真矢
第八章 淘汰と緊縮へのコロナショックドクトリン―松尾匡
第九章 「選択の自由」の罠からの解放―高橋真矢
第十章 「考える私」「感じる私」にとっての選択―松尾匡
第十一章 脱労働社会における人間の価値について―井上智洋
エピローグ 不平等の拡大と個人空間化―高橋真矢
著者紹介
松尾匡(まつお ただす)
1964年、石川県生まれ。’87年、金沢大学経済学部卒業。’92年、神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。経済学博士。
久留米大学経済学部教授を経て、2008年、立命館大学経済学部教授。著書に『自由のジレンマを解く』『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』(以上、PHP新書)、『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(共著、亜紀書房)、『新しい左翼入門』『左翼の逆襲』(以上、講談社現代新書)などがある。
井上智洋(いのうえ ともひろ)
駒澤大学経済学部准教授。経済学者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。IT企業勤務を経て早稲田大学大学院経済学研究科に入学。同大学院にて博士(経済学)を取得。2017年から現職。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。著書に『人工知能と経済の未来』(文春新書)、『ヘリコプターマネー』『純粋機械化経済』(以上、日本経済新聞出版社)、『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書)、『MMT』(講談社選書メチエ)などがある。
高橋真矢(たかはし まや)
兵庫県生まれ、現在、大阪府在住。高校中退、高卒認定(旧大検)取得、夜間学部大学卒業。現役不安定ワーカー。