クウキノケンエツ
2018年3月15日発売
定価:968円(税込み)
ISBN 978-4-334-04344-5
光文社新書
判型:新書判ソフト
空気の検閲大日本帝国の表現規制
絶対悪の代名詞「検閲」。しかしその実態は?
ブラック労働的なその現場、エロ本評論家と化す検閲官、検閲官とマスコミの驚くべき一体ぶり、植民地における検閲の実情、検閲の対象となるメディアの広がり、官僚的セクショナリズムによる検閲の暴走、法外の手段を用いた非正規の検閲と、忖度による自主規制、世間との共振……。
1928年~1945年のエロ・グロ・ナンセンスから日中戦争・太平洋戦争時代まで、大日本帝国期の資料を丹念に追いながら、一言では言い尽くすことのできない、摩訶不思議な検閲の世界に迫っていく。
目次
第一部 検閲の動揺
第一章 エロ・グロ・ナンセンス対検閲官(一九二八〜一九三一年)
第二章 世間と共振する検閲(一九三二〜一九三六年)
第二部 広がる検閲網
第三章 植民地の独立運動を抑圧せよ(台湾、朝鮮)
第四章 聴く検閲、観る検閲(脚本、映画、放送、レコード)
第三部 戦争と検閲
第五章 日中戦争と忖度の活用(一九三七〜一九四一年)
第六章 太平洋戦争と軍部の介入(一九四一〜一九四五年)
あとがき
主要参考文献
著者紹介
辻田真佐憲(つじたまさのり)
1984 年大阪府生まれ。作家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。2012年より文筆専業となり、政治と文化芸術の関係を中心に、広く執筆活動を続けている。単著に『文部省の研究』(文春新書)、『大本営発表』『ふしぎな君が代』『日本の軍歌』(以上、幻冬舎新書)、『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)、『愛国とレコード』(えにし書房)などがある。また監修に『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)、『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ! 』(キングレコード)、『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)などがある。