ホーム > 光文社新書 > なぜ、「怒る」のをやめられないのか
ナゼ、「オコル」ノヲヤメラレナイノカ
2012年7月18日発売
定価:836円(税込み)
ISBN 978-4-334-03695-9
光文社新書
判型:新書判ソフト
なぜ、「怒る」のをやめられないのか「怒り恐怖症」と受動的攻撃
「怒り」とは、「何かうまくいっていないことがある」というサイン。生きる上で非常に重要な感情である。しかし「怒りを自覚すること」の大切さを教えてもらえず、我慢させられるばかりで(または理不尽な怒りの恐怖の中で)育つと、「怒り恐怖症」に陥ってしまう。
その症状としては二つにわかれる。一方は怒ることを否認し、怒りを自分自身に向けたり、怒りを偽装して「受動的攻撃」という形(「やるべきことをしない」「遅らせる」「忘れる」等々)で敵意を表出する。もう一方は、怒りを溜めこんだあげく、キレる症状である。
「怒らない」ことが盛んに目指されるが、抑圧した怒りは必ず別の形で表れ、連鎖し、人間関係や自分自身を傷つける。本書ではしつこい怒りを醸成する依存や支配、競争関係に着目しつつ事例を分析。怒りを適切に表現する大切さとその方法を探っていく。
目次
はじめに なぜいま、「怒り」、――とくに「ゆがんだ怒り」を取り上げるのか?
第1章 抑圧された怒りはどこへいくのか?
第2章 自分自身に向けられる怒り
第3章 受動的攻撃――こそこそと怒りを表現する人たち
第4章 なぜ怒りを直接出せないのか?
第5章 怒りの応酬、怒りの連鎖
第6章 処方箋――怒りをそんなに怖れるな
おわりに
著者紹介
片田珠美(かただたまみ)
1961年広島県生まれ。精神科医。京都大学非常勤講師。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学ぶ。臨床経験にもとづき、心の病の構造を分析。著書に『一億総ガキ社会』(光文社新書)、『17歳のこころ』(NHKブックス)、『こんな子どもが親を殺す』(文春新書)、『薬でうつは治るのか?』『やめたくてもやめられない―依存症の時代』(いずれも洋泉社新書y)、『無差別殺人の精神分析』(新潮選書)、『一億総うつ社会』(ちくま新書)などがある。