ツクラレタ「ニホンノココロ」シンワ
2010年10月15日発売
定価:1,045円(税込み)
ISBN 978-4-334-03590-7
光文社新書
判型:新書判ソフト
創られた「日本の心」神話「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史
「演歌は日本の心」と聞いて、疑問に思う人は少ないだろう。落語や歌舞伎同様、近代化以前から受け継がれてきたものと認識されているかもしれない。ところが、それがたかだか四〇年程度の歴史しかない、ごく新しいものだとしたら?
本書では、明治の自由民権運動の中で現れ、昭和初期に衰退した「演歌」――当時は「歌による演説」を意味していた――が、一九六〇年後半に別な文脈で復興し、やがて「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を、膨大な資料と具体例によって論じる。
いったい誰が、どういう目的で、「演歌」を創ったのか?
目次
はじめに
第一部 レコード歌謡の歴史と明治・大正期の「演歌」
第二部 「演歌」には、様々な要素が流れ込んでいる
第三部 「演歌」の誕生
第四部 「演歌」から「昭和歌謡」へ
著者紹介
輪島裕介(わじまゆうすけ)
一九七四年金沢生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(美学芸術学)博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員を経て、現在国立音楽大学、明治大学他非常勤講師。専攻はポピュラー音楽研究・民族音楽学・大衆文化史。共著に『クラシック音楽の政治学』(青弓社)、『事典 世界音楽の本』(岩波書店)、『拡散する音楽文化をどうとらえるか』(勁草書房)。論文に「『はっぴいえんど神話』の構築」(『ユリイカ』青土社、二〇〇四年九月号)、「音楽のグローバライゼーションと『ローカル』なエージェンシー」(東京大学学術機関リポジトリからアクセス可)ほか。