メディア バイアス
2007年4月17日発売
定価:814円(税込み)
ISBN 978-4-334-03398-9
光文社新書
判型:新書判ソフト
メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学
センセーショナリズム、記者の思い込み、捏造――
トンデモ科学報道を見破る!
世間に氾濫するトンデモ科学報道。納豆ダイエット捏造騒動を機に健康情報番組の問題点は知られるようになってきたが、テレビを批判する新聞や週刊誌にも、あやしい健康情報が山ほどある。そこには、センセーショナルな話題に引っ張られるメディアの構造、記者・取材者の不勉強や勘違い、思い込み、そして、それを利用する企業や市民団体など、さまざまな要素が絡んでいる。
本書では、さまざまな具体例をもとにメディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。
■変化する“リスクの大きさ”
ある部屋に金庫が置いてあり、鍵がかかっています。金庫の中には、一万人を死に至らしめることができる青酸カリが厳重にびんに詰められ、破損しないように措置を講じられたうえで置かれています。金庫の隣にはテーブルがあり、そのうえにはアルコール分四〇%のウイスキーが四リットル入った大きなペットボトルが置かれています。(中略)
さて、あなたは青酸カリとウイスキーのどちらが危ないと思いますか。
(本文より)
目次
はじめに
第1章 健康情報番組のウソ
第2章 黒か白かは単純すぎる
第3章 フードファデイズムの世界へようこそ
第4章 警鐘報道をしたがる人びと
第5章 添加物バッシングの罪
第6章 自然志向の罠
第7章 「昔はよかった」の過ち
第8章 ニセ科学に騙されるな
第9章 ウソつき科学者を見破れ
第10章 政治経済に翻弄される科学
第11章 科学報道を見破る十カ条
おわりに
著者紹介
著者:松永和紀
一九六三年長崎市生まれの東京育ち。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社の記者として一〇年勤めた後に退職し、フリーの科学ライターとして活動を開始。得意分野は農業、食品、環境など。日経BP社のサイト「Food Science 食の機能と安全」で二〇〇四年四月より「松永和紀のアグリ話」を連載中。著書に『食卓の安全学――「食品報道」のウソを見破る』『踊る「食の安全」――農薬から見える日本の食卓』(以上、家の光協会)がある。