タカラノヤマ
2020年2月20日発売
定価:1,980円(税込み)
ISBN 978-4-334-91333-5
フィクション、文芸
判型:四六判ソフト
宝の山
かつては温泉客で賑わっていた岐阜県宝幢村(ほうどうむら)。十六年前の地震で温泉が涸れ、村は衰退する一方だ。この村で生まれ育った希子(きこ)は、地震で家族を亡くし、伯父夫婦と暮らしている。年金で生活を支えながら伯父の介護に明け暮れる日々だが、村役場の課長・竜哉(たつや)との結婚が決まり、叔母は誇らしそうに嫁入り道具を披露している。希子が暮らす家と空き家を挟んだ隣家に住むのは、七年前にIターンしてきた長谷川一家。家にはいつも頑丈に鍵が掛けられ、高校生の長男・耀(てる)は奇声を上げて自転車で走り回るなど、村人から不審がられいた。ある日、村おこしのために雇われたブロガー・茗(めい)が突如消えてしまう。希子は、村長の妻であり、農園や工場を手広く商う来宝(らいほう)ファームの社長・麗美(れいみ)に、茗の代役を強引に依頼されるが……。