野性の呼び声
苛酷な大自然を力のかぎり生きぬく犬たちの
誇り高き生命の物語
内容 極寒の地を駆け抜ける高貴な魂
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。
20世紀初頭、アメリカで国民的な人気を博したジャック・ロンドンの出世作が新訳でよみがえった。感傷を排しドライな筆致で描かれた、犬と男たちの荒々しいドラマは、時代を超えて心を揺さぶる。
目次
第一章 原初の地へ
第二章 棍棒と牙の掟
第三章 太古の野獣の血が支配する
第四章 覇者となったもの
第五章 橇引きの苦難にあえぐ
第六章 ひとりの男への愛のために
第七章 呼び声が響く
解説 信岡 朝子
年譜
訳者あとがき
著者紹介
著者:ジャック・ロンドン [1876-1916]
アメリカの小説家。サンフランシスコで貧しい家庭に育ち、15歳の頃から牡蠣密漁、アザラシ猟船乗組員、発電所の石炭運搬など様々な職につき、各地を放浪する。1897年、クロンダイクのゴールドラッシュに参加するが壊血病にかかり帰郷。1903年、北方での見聞をもとに書いた『野性の呼び声』が大ヒットし、人気作家となる。以後、『どん底の人々』『海の狼』『ホワイト・ファング』などを精力的に発表する。40歳で死去。
訳者:深町眞理子
1931年生まれ。英米文学翻訳家。訳書に、『ザ・スタンド』(キング)、『ルーンの杖秘録』シリーズ(ムアコック)、『光の王』(ゼラズニイ)、『渇きの海』(クラーク)、『親指のうずき』(クリスティー)、『くじ』(ジャクスン)、『アンネの日記 増補新訂版』(フランク)ほか多数。著書に『翻訳者の仕事部屋』がある。