ウミニスムショウジョ
2006年10月12日発売
定価:572円(税込み)
ISBN 978-4-334-75111-1
古典新訳文庫
判型:文庫判ソフト
海に住む少女
海に浮かぶ不思議な町の少女……
透きとおっていく、遥かな物語集
「フランス版・宮沢賢治」ともいえる、幻想的な詩人・小説家の、短編ベスト・コレクション。悲しみでも苦しみでもない、切ない気持ちで胸がいっぱいになり、涙がこぼれそうになる。(訳者)
物語 不条理な世界を、必死に生きる
「海に住む少女」の大海原に浮かんでは消える町。「飼葉桶を囲む牛とロバ」では、イエス誕生に立ち合った牛の、美しい自己犠牲が語られる。不条理な世界のなかで必死に生きるものたちが生み出した、ユニークな短編の数々。時代が変わり、国が違っても、ひとの寂しさは変わらない。
目次
海に住む少女
飼葉桶を囲む牛とロバ
セーヌ河の名なし娘
空のふたり
ラニ
バイオリンの声の少女
競馬の続き
足跡と沼
ノアの箱舟
牛乳のお椀
解説
ジュール・シュペルヴィエル年譜
訳者あとがき
著者紹介
著者:ジュール・シュペルヴィエル [1884-1960]
ウルグアイの首都、モンテヴィデオで生まれた。両親はフランス人。10歳のときにフランスに戻り、フランス語で書くことを選ぶ。2つの国に引き裂かれた人生から、独特の複眼的な視点による、幻想的な美しい作品を描いた。詩人、作家。短編集『海に住む少女』『ノアの箱舟』、詩集『重力』など。戦後日本の詩人たちに大きな影響を与え、現在に至るまで、コアなファンをもっている。
訳者:永田千奈
東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒。主な訳書に『ある父親』(シビル・ラカン)、『それでも私は腐敗と闘う』(イングリッド・ベタンクール)、『サーカスの犬』(リュドヴィック・ルーボディ)などがある。