ディズニートチャップリン
2021年6月16日発売
定価:990円(税込み)
ISBN 978-4-334-04547-0
光文社新書
判型:新書判ソフト
ディズニーとチャップリンエンタメビジネスを生んだ巨人
ミッキーマウスは、姿形の点においてもチャップリンをモチーフとしていた。チャーリーの帽子の代わりにミッキーには黒い特徴的な耳があった。放浪者のきつい上着とぶかぶかの大きなズボンの対比は、ミッキーにおいては、小さな上半身と丸くて大きなお尻のズボンへと受け継がれた。チャーリーの象徴でもある大きなドタ靴は、ミッキーの体に比べて極端に大きな靴になった。常につま先を外側に向けている立ち方も共通している。
第1章で、ディズニーの生涯の野心とは、「もう一人のチャップリンになることでした」という妹ルースの証言を紹介したが、俳優の道を諦めた代わりに、彼は「もう一人のチャップリン」をアニメーションの世界で創ったのだった。 (本文より)
目次
プロローグ
第1章 チャーリーとウォルト
第2章 キャラクター権利の発明者チャップリン
第3章 ミッキーマウスの誕生 モデルはチャップリン
第4章 放浪紳士チャーリーとミッキーマウス
第5章 戦争 二人の別れ
第6章 二人の巨人のレガシー
エピローグ 二人が最後に見た夢
著者紹介
大野裕之(おおのひろゆき)
1974年大阪生まれ。脚本家・演出家・日本チャップリン協会会長。大阪府立茨木高校卒。京都大学総合人間学部卒、同大学院人間・環境学研究科博士課程所定単位取得。専攻は映画・演劇学、英米文化史。国内外のチャップリン関連企画やブルーレイ等を監修するなど、遺族の信頼もあつく日本でのチャップリンの権利の代理店も務める。著書に、『チャップリン 作品とその生涯』(中公文庫)、『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』(岩波書店、第37回サントリー学芸賞)他多数。創作では、映画『太秦ライムライト』(第18回ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞)、『葬式の名人』他のプロデューサー・脚本を担当。2006年ポルデノーネ無声映画祭特別メダル、14年京都市文化芸術産業観光表彰「きらめき賞」受賞。