ニチジョウセカイヲテツガクスル
2019年8月21日発売
定価:880円(税込み)
ISBN 978-4-334-04428-2
光文社新書
判型:新書判ソフト
日常世界を哲学する存在論からのアプローチ
「存在論」とは、何かが「ある」とはどういうことかを考える哲学の一大分野である。起源は古代に遡るが、現代では、ある事実が成立するためには何が存在し、存在するもの同士はどのような関係にあるかを問題にする。具体的には「安倍内閣は辺野古移転を正しいと信じている」という時の「信念」の主体は誰か、「パワハラ」は社会の中でどのように「ある」のか、「KY」の「空気」とはどのような性質を持つものかなど、あらゆる事象の前提、すなわち世界がよって立つ基礎を考察している。私たちの「当たり前」を問い直すことで、日常は違った相貌を現す。哲学の最前線を体感するスリリングな講義。
目次
序 論 日常世界を哲学する
第1章 ハラスメントはいかに「ある」か?――「社会的事実」を考える
第2章 「空気」とは何か?――「社会規範」の分析
第3章 集団に「心」はあるのか?――全体論的アプローチ
第4章 時計は実在するのか?――「人工物」のリアリティーについて
第5章 サービスの存在論――私たちが売買する時空的対象
第6章 キャラクターの存在と同一性――「人工物説」の立場から
著者紹介
倉田剛(くらたつよし)
1970年生まれ。九州大学大学院人文科学研究院准教授。慶應義塾大学文学部卒。パリ大学第12校DEA課程を経て、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はオーストリア哲学、分析形而上学。主な著書は『現代存在論講義Ⅰ・Ⅱ』(新曜社)など。