アベノミクスノユクエ
2013年4月17日発売
定価:968円(税込み)
ISBN 978-4-334-03741-3
光文社新書
判型:新書判ソフト
アベノミクスのゆくえ現在・過去・未来の視点から考える
アベノミクスとも言われる「大胆な」金融政策、「機動的な」財政政策、「民間投資を喚起する」成長戦略の3つの経済政策への期待感は、現在、将来の予想が重要な材料となる株式市場や為替市場の活況という形で表れている。 一方で、例えば「大胆な」金融政策は長期金利の急騰や行き過ぎたインフレをもたらすのではないか、結局賃金上昇という形で国民に恩恵が行き渡らないのではないかといった不安の声も聞こえる。 このような期待と不安が入り混じる現状において、アベノミクスをどう評価すればいいのか? 気鋭のエコノミストが、アベノミクスを支える“3本の矢”の現状評価と今後のゆくえを、精緻な分析によって論じる。
目次
はじめに――アベノミクスの衝撃
第1章 日本経済の現状
1.日本経済の「現状」を特徴づける7つのポイント
2.マイルドかつ持続的なデフレ
3.円高トレンドの持続
4.失業率の高止まり、名目賃金の停滞
5.深刻化する不況と回復の弱々しい好況
6.財政赤字・債務負担の深刻化と、将来の増税可能性の高まり
7.少子高齢化の本格化
8.東日本大震災の影響
9.第1章のまとめ――デフレがもたらす影響
第2章 日本経済を考えるための視点
1.3×3のフレームワークとは
2.3つの政策手段
3.3つのステージ
4.3つの時点
5.第2章のまとめ――3×3のフレームワーク
第3章 過去から考える日本経済
1.長期停滞の主因をめぐる6つの仮説
2.3×3のフレームワークに基づく長期停滞
3.個別政策から見た長期停滞
4.第3章のまとめ――「デフレレジーム」と3×3のフレームワークに
基づく長期停滞の解釈
第4章 未来から考える日本経済
1.「アベノミクス」をどう考えるか
2.「大胆な」金融政策の検証
3.「機動的な」財政政策の検証
4.「民間投資を喚起する」成長戦略の検証
[1]TPP(環太平洋経済連携協定)
[2]エネルギー政策
5.第4章のまとめ――「アベノミクス」をどう捉えるか
おわりに――アベノミクスのゆくえ
著者紹介
片岡剛士(かたおかごうし)
1972年愛知県生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。専門は応用計量経済学、マクロ経済学。著書に『日本の「失われた20年」――デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店、2010年、第4回河上肇賞本賞受賞、第2回政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞)、『円のゆくえを問いなおす――実証的・歴史的にみた日本経済』(ちくま新書、2012年)がある。