ゲンソウノミヤコ カマクラ
2022年5月18日発売
定価:902円(税込み)
ISBN 978-4-334-04607-1
光文社新書
判型:新書判ソフト
幻想の都 鎌倉都市としての歴史をたどる
和食・和菓子・民芸品・人力車などなど、「日本の伝統文化」風の商売が満ち溢れてはいるが、それは日本各地の観光地で見られる一般的な「和テイスト」に過ぎず、鎌倉独自の歴史が反映されたものはほとんどない。ましてや、江戸時代以来の街並みが残されているわけでもない。実は、現在の小町通りの商店街が形を見せるのは、近代の昭和になってからなのである。
町なかのあちこちで見かけられるおしゃれな洋館やレトロな商店は、鎌倉散歩の魅力の一つではあるが、これまた明治以降のもの、多くは昭和になってからの建物である。つまり、現在の鎌倉が、江戸時代以前の鎌倉の姿をどれほど伝えているのかは、はなはだ心もとないのである。
(「はじめに」より)
目次
はじめに
【紀元前~鎌倉前期】
第一章 源氏以前、源氏以後
【鎌倉中期~室町後期】
第二章 北条の都から戦国の鎌倉へ
【近世】
第三章 観光名所化する鎌倉
【近代】
第四章 幻想の古都
おわりに
著者紹介
高橋慎一朗(たかはししんいちろう)
1964年、神奈川県生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学文学部国史学科卒業後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史、都市史。神奈川県立湘南高校在学中から鎌倉の魅力に親しむ。著書に、『中世の都市と武士』『北条時頼』『日本中世の権力と寺院』『中世鎌倉のまちづくり─災害・交通・境界─』(以上、吉川弘文館)、『武家の古都、鎌倉』(山川出版社)、『中世都市の力─京・鎌倉と寺社─』(高志書院)など多数。共編著に、『中世の都市─史料の魅力、日本とヨーロッパ─』(東京大学出版会)がある。