ヤバンナダイガクロン
2021年10月20日発売
定価:836円(税込み)
ISBN 978-4-334-04569-2
光文社新書
判型:新書判ソフト
野蛮な大学論
私はまず、アカデミズムの世界に生きる人々が、自分たちの仕事に無駄や失敗が山ほどあることを認めることから始めるべきだと思っています。学術的な研究は、誰も知らない新しい知識を模索するもの。つまり前例や従来の常識が通用しないところに踏み込んでいくのですから、効率よく一発で成果を得られるはずありません。あちこち遠回りして、何度も失敗をくり返すのが常です。失敗したまま終わる研究だって山ほどあるでしょう。むしろ、成功するのはほんのひと握りかもしれません。でも、そういう泥臭い試行錯誤や失敗の山がなければ、大きな成功もあり得ないのです。
――「序章 『大学とは何なのか』が問われた2020年」より
目次
序章 「大学とは何なのか」が問われた2020年
第1章 私が経験した大学の野蛮さ
第2章 教員として教えた野蛮な作法
第3章 研究者は荒野を目指す
第4章 野蛮に生きるには教養が不可欠である
第5章 大学を野性と理性の「動物園」にせよ
あとがき
著者紹介
酒井敏(さかいさとし)
1957年、静岡県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。2021年4月からは静岡県立大学副学長を兼任。1980年、京都大学理学部を卒業。1981年、同大学院理学研究科修士課程中退後に助手として採用され、以来同大学一筋に40年在籍。専門は地球流体力学。現在、京都大学随一の古株として大学の未来に危機感を抱き「京大変人講座」を開講するも、自身は変人でありつつちゃんとした常識人。著書に、『京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略』(集英社新書)、『都市を冷やすフラクタル日除け』(成山堂書店)。共著に、『京大変人講座』『もっと! 京大変人講座』(ともに三笠書房)。