キズハゼッタイショウドクスルナ
2009年6月17日発売
定価:924円(税込み)
ISBN 978-4-334-03513-6
光文社新書
判型:新書判ソフト
傷はぜったい消毒するな生態系としての皮膚の科学
ケガをしたら、消毒して乾かす、が世間の常識。しかし著者によれば、消毒は「傷口に熱湯をかけるような行為」だという。傷は消毒せず、乾燥させなければ、痛まず、早く、しかもきれいに治るのである。
著者は、今注目の「湿潤治療」を確立した形成外科医である。その治癒効果に驚いた医師らにより、湿潤治療は各地で広まっている。しかし肝心の大学病院などでは相変わらず、傷やヤケドを悪化させ、治りを遅らせ、患者に痛みと後遺症を強いる旧来の治療が行われている。なぜ、医学において生物学や科学の新しい成果は取り入れられないのか。本書では医学界の問題点も鋭く検証。さらに、生物進化の過程をたどりつつ見直した、皮膚という臓器の持つ驚くべき能力について、意欲的な仮説を展開しながら解説する。
目次
はじめに
第1章 なぜ「消毒せず、乾かさない」と傷が治るのか
第2章 傷の正しい治し方
第3章 ケガをしたら何科に行く?
第4章 私が湿潤治療をするようになったわけ――偶然の産物
第5章 消毒薬とは何か
第6章 人はなぜ傷を消毒し、乾かすようになったのか
第7章 「化膿する」とはどういうことか
第8章 病院でのケガの治療--ちょっと怖い話
第9章 医学はパラダイムの集合体だ
第10章 皮膚と傷と細菌の絶妙な関係
第11章 生物進化の過程から皮膚の力を見直すと……
――脳は皮膚から作られた!?
あとがき
著者紹介
夏井睦(なついまこと)
1957年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。日本形成外科学会認定医。石岡第一病院傷の治療センター長。2001年、消毒とガーゼによる治療撲滅をかかげて、インターネットサイト「新しい創傷治療」を開設。趣味はピアノ演奏。著書に『キズ・ヤケドは消毒してはいけない』(主婦の友社)、『さらば消毒とガーゼ』(春秋社)、『これからの創傷治療』(医学書院)、『創傷治療の常識非常識』『ドクター夏井の外傷治療「裏」マニュアル』(ともに三輪書店)などがある。