あの世からだっていい、 俺の名前を呼んでくれ
森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた――。自分を責め、他者を拒み、頑なに孤独でいようとする森二。うらぶれたアパートの隣室には、バンドネオンの息苦しく哀しげな旋律を奏でる美少女・沙羅がすんでいた。森二の部屋を突然訪れた少女・冬香の言葉が突き刺さる──「私、あの夜のこと、憶えているんです。あなたは私の目の前でお母さんを殺しました」。森二の「奇跡」と「罪」が事件を、憎しみを、欲望を呼び寄せ、人々と森二を結び、縛りつける。更に暴走する憎悪と欲望が、冬香と沙羅を巻き込む! 森二は苦しみを越えて「奇跡」を起こせるのか!?