Web光文社文庫 > 発表!ショートショート作品 入選作・優秀作

たいへんお待たせしました! 「手紙」テーマの優秀作を発表します。
まず全体の講評ですが、今回は、クラシックなテーマが難しかったのか、やや低調な印象がありました。手紙の書き出しから始まる作品が目立ちましたが、アイデアがストレート過ぎるのではないでしょうか。むしろ、テーマと遠く離れたところから着想される方が面白い作品になると思います。中で優秀作として残ったのは――(応募順)

「彼女からの手紙」
新屋鉄仙人
「海へ返す」
田辺ふみ
「止街」
藤本直
「アレルギー」
小斎望
の4作品でした。


過去の入選作・優秀作はこちらからお読みいただけます。

彼女からの手紙


テンポのいい展開ですいすいと読ませます。読者を二重に騙す仕掛けもいいですね。ただ、語り口があまりにあっさりとしているせいで、せっかくのラストの怖さが十分に演出できていないように感じました。主人公の言動や心の声に、よりリアルな実感を持たせるよう、細部を工夫すれば、読み応えがぐっと違ってくると思います。

海へ返す


詩的な着想が、とても素晴らしい。文章もこなれていて心地いい読み味がありました。ですが、物語としては、(ここで終わってしまうのか)という物足りなさを覚えました。海に戻したはずの手紙が、やがて一通(複数?)戻ってくる。それは――というところまでの物語を書いていただきたいと思います。

止街


これまで二作品が入選作となっている方だけに、発想も面白いし、全体に漂う不穏な雰囲気の演出もとても巧いと思います。ただ、オチが早くに読めてしまうのが惜しいですね。「あの日」という言葉を意味ありげに使わない方がよかったのではないでしょうか。また、このオチで終わりにするのであれば、もっと全体を圧縮した方がよいと思います。

アレルギー


謎めいた出だしがとてもいいですね。思わず先を読みたい気持ちにさせられます。その後の不条理な展開も面白い。ただ、主人公のタレントとしての言動を少しでも具体的に入れておくことと、食べられないものが次第に増えてゆく過程をもっとじっくり描くことで(林檎の次は◯◯その次は✕✕というように)、最後の手紙がより利いてくるのではないでしょうか。着想は面白いので、書き直すことをおすすめします。
今回は、残念ながら入選に届く作品はありませんでした。ですが、第4回のテーマ「食卓」には、すでにかなり多くの応募作品が届いています。4月27日いっぱいが締切ですので、まだまだたくさんの面白い作品をお待ちしています!

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