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(C)Jiro Taniguchi/M.A.T. 2007
エネミーゴ サイシュウバン
2007年11月29日発売
定価:2,096円(税込み)
ISBN 978-4-334-90146-2
コミック
判型:A5判ソフト
コミック叢書SIGNALエネミーゴ 最終版
[THE DIRECTOR’S CUT EDITION 最終版]
男は硝煙の中に消えゆくのか…… 幻のハードロマンが現在蘇る。
特別解説・寺田克也
とても、なつかしい想いで読み返しているうち、当時の熱気や勢いに圧され、ちょっぴりたじろぐ。ほとんど無我夢中で描いたことを思い出す。(中略)
冒険活劇というジャンルに、正統的な概念や分類があるのかどうか正確にはわからないけれど、「エネミーゴ」はその伝統と様式を踏まえルールらしきもの(美しき依頼主、銃撃、殺し、友情、愛、裏切り、そして別離)を守りぬいてみた。物語はラストの活劇へ向けて、ほどよい緊張感を漂わせながら静かに動き出す――私の好きな場面だ。ニューヨークの活劇描写は楽しんで描いたことを思い出す。現在、「エネミーゴ」を読み終え、うかつにも私は胸を熱くする。当時の情熱が甦ってくる。出来ればもう一度という気持ちが湧きあがる。はたして、現在のマンガ状況のなかで本格冒険活劇マンガが読者に受け入れられるものなのか――たとえ時代に逆行しようともあのタフで優しい私立探偵が暗黒の裏社会や大資本家、政治家の汚い裏切りに打ちのめされながら、なお微笑を浮かべて立ち向かってゆくヒーローを新たなる境地で描いてみたいと思わせてくれた。
私は現在、そんなことを密かに夢想しながら胸躍らせている。
(谷口ジロー「あとがき」より)