ハツコイ
2006年9月7日発売
定価:572円(税込み)
ISBN 978-4-334-75102-9
古典新訳文庫
判型:文庫判ソフト
初恋
ジナイーダ。それが彼女の名前。
そして少年は人生の苦しみを知った
ロシアの帝政が、崩壊の予兆にふるえる時代に誕生した、トゥルゲーネフの自伝的中編。主人公の告白をやわらかな語り口調に変えた、みずみずしい感性があふれる新訳。
物語 少年と年上の公爵令嬢
16歳の少年ウラジーミルは、年上の公爵令嬢ジナイーダに、一目で魅せられる。初めての恋にとまどいながらも、思いは燃え上がる。しかしある日、彼女が恋に落ちたことを知る。だが、いったい誰に? 初恋の甘く切ないときめきが、主人公の回想で綴られる。作者自身がもっとも愛した傑作。
著者紹介
著者:イワン・セルゲーエヴィチ・トゥルゲーネフ [1818-1883]
ロシアの小説家・劇作家。深い教養と冷静な観察力で、ロシア社会が抱える問題をテーマに幾多の名作を書いた。若き日に無政府主義者バクーニンとの共同生活を体験し、50代ではフローベールやゾラと交際するなど、ロシアとヨーロッパの作家、思想家との交流を通じ、両者の懸け橋となった。主作品に『貴族の巣』『ルージン』『父と子』などがある。
訳者:沼野恭子
ロシア文学研究家・翻訳家。東京外国語大学講師。主著に『アヴァンギャルドな女たち―ロシアの女性文化』『世界の食文化〈19〉ロシア』、主訳書に『ペンギンの憂鬱』(クルコフ)、『それぞれの少女時代』(ウリツカヤ)、『墜ちた天使―アザゼル』(アクーニン)ほかがある。