ニホンサッカーシンコウキ
2018年5月17日発売
定価:990円(税込み)
ISBN 978-4-334-04352-0
光文社新書
判型:新書判ソフト
日本サッカー辛航紀愛と憎しみの100年史
2018年4月、ロシアワールドカップを目前に控え、日本サッカー協会は突然ハリルホジッチ監督解任に踏み切る。歴史を繙けば、選手の反抗や監督解任にともなう無責任な報道は何度も繰り返されてきた。
「名勝負の羅列だけがサッカー史ではない。サッカーもまた映画や演劇のように、内外の不特定多数を巻き込む運動や装置として生きてきたのだ」と著者は説く。「日本社会」において「サッカー」とはいったい何だったのか。1921年の第一回「天皇杯」から、2018年のロシアワールドカップ出場までおおよそ一世紀を、貴重な文献と著者自身の視点で振り返る。
目次
はじめに
第一章 戦争から東京オリンピック前夜 1920〜1960年代
第一節 消えたFA杯
第二節 人それをサッカーと呼ぶ
第三節 1964年東京オリンピックへ
第二章 銅メダルからの凋落 1960〜1970年代前半
第四節 第一次サッカー・ブームへ
第五節 「紳士のスポーツ」による啓蒙と刷り込み
第三章 誰も日本リーグを覚えていない 1970年代
第六節 神様、仏様、ペレ様
第七節 70年代のサッカー・メディア
第四章 プロ志向の芽生え 1980年代前半
第八節 物珍しさとしてのワールドカップ
第九節 平壌1985
第五章 プロとアマ、その波打ち際の苦難 1980年代後半〜1990年代前半
第一〇節 代表監督退陣要求嘆願書
第一一節 三浦知良という光源
第六章 ドーハの悲劇とジョホールバルの歓喜 1992年〜1997年
第一二節 悲願成就はバブルとともに
第一三節 出版の嵐としてのJリーグ・ブーム
第七章 岡田、トゥルシエ、ジーコの時代 1998年〜2006年
第一四節 空前の活況から、その終焉の日まで
第一五節 家から通えるワールドカップの“不幸”
終章 代表バブルから遠く離れて 2007年〜2018年
第一六節 起承転結の完成と新たな起点の模索
最終節 不服の諸相と改善案
あとがき──辛航の終わりに
著者紹介
佐山一郎(さやまいちろう)
作家・編集者・立教大学社会学部兼任講師。1953年東京生まれ。成蹊大学文学部文化学科卒業。1981年、流行通信入社。アンディ・ウォーホルの「Interview」誌と提携する「スタジオ・ボイス」編集長を務める。退社後は、「サッカーマガジン」「月刊プレイボーイ」「フットボール批評」などに寄稿。2002年~2009年、「朝日新聞」読書欄でスポーツ本新刊評を担当。2014 年よりサッカー本大賞選考委員長。著書に、『「私立」の仕事』(筑摩書房)、『闘技場の人』(河出書房新社)、『雑誌的人間』(リトルモア)、『VANから遠く離れて──評伝石津謙介』(岩波書店)などがある。