「ジョセイカツヤク」ニホンロウサレルヒトビト
2018年3月15日発売
定価:902円(税込み)
ISBN 978-4-334-04340-7
光文社新書
判型:新書判ソフト
「女性活躍」に翻弄される人びと
女の生き方は時代によって左右される――。「女性活躍」時代のリアル。
管理職への昇進を拒む深い葛藤、やりがいと低賃金の狭間に生きる姿、「勝ち組」の敗北感、認められない家庭生活での活躍、そして男をも襲うプレッシャー。「女性活躍」推進の期待が高まる一方、「産め働け活躍しろ……! 冗談じゃない! 」女たちは規範の押し付けに悩み、苦しみ、怒っている。
人びとの等身大の本音を長年にわたる定点観測ルポで掬い上げ、時代ごとの生き方トレンドに翻弄される、一人ひとりの働きづらさや生きづらさの本質を解き明かし、それぞれが希望の光を見出せる社会を考える。
目次
はじめに
第1章 管理職になりたがらない女たち
1 「産め」「働け」「活躍」の三重圧力
2 男の「しきたり」から外れる自由
3 女同士の闘いが怖い
4 “数合わせ”の女性登用
第2章 非正規でも前向きな女たち
1 “腰掛け”仕事のつもりが……
2 処遇よりも、やりがい
3 社会貢献活動で自分と向き合う
4 女性の格差拡大
第3章 “敗北感”に苛まれる女たち
1 「勝ち組」専業主婦の今
2 息子を“お受験”という代理戦争に
3 出世できない夫にDV
4 女の生き方に勝ち負けはない
第4章 男たちを襲うプレッシャー
1 女性登用に足をすくわれる
2 女性優遇は「逆差別」?
3 妻の「活躍」がプレッシャー
4 キャリアを捨てた妻に負い目
5 プレッシャーを男女ともに乗り越える
第5章 真に女性が輝く社会とは
1 女の人生は一様ではない
2 男女の「差異」を受け入れる
3 内発的動機づけを味方に
4 多様な働き方と質の向上
5 「活躍」のシーンは十人十色
あとがき
主要参考文献
著者紹介
奥田祥子(おくだしょうこ)
京都市生まれ。ジャーナリスト、近畿大学教授(社会学)。元新聞記者。博士(政策・メディア)。ニューヨーク大学文理大学院修士課程修了。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。男女の生きづらさ、医療・福祉、労働、家族などをテーマに、ルポルタージュや評論、学術論文を国内外で発表。『男性漂流 男たちは何におびえているか』(講談社)がベストセラーとなり、台湾や韓国でも刊行された。著書はほかに、『男という名の絶望 病としての夫・父・息子』(幻冬舎)、『男はつらいらしい』(文庫版:講談社)。20 年近くにわたり、取材対象者一人ひとりに継続的なインタビューを続け、取材者総数は男女合わせて400 人を超える。日本文藝家協会会員。