シキシャノシゴトジュツ
2011年1月18日発売
定価:902円(税込み)
ISBN 978-4-334-03604-1
光文社新書
判型:新書判ソフト
指揮者の仕事術
「指揮者ってどうして必要なんですか?」----こんな質問をいただいたときは、「仮に社長さんがいなくても、工場で職人さんは製品を作れますね。でも優れた経営者がいれば、品物の売り上げを百倍にも千倍にも伸ばすことができるでしょう?」と答えることにしています。実際オーケストラの指揮者って、そういう存在です。優れた指揮者は演奏家集団の持つ力を百倍にも千倍にも高めることができます。でも、下手をすれば百分の一にも千分の一にもしてしまう。それが指揮のコワいところです。でも、これって音楽に限らずいろんな分野の仕事のリーダーに通じることですよね?
この本では、そんな指揮者の仕事の実際と「総合力」の秘密をご紹介したいと思います。
目次
イントロダクション
なぜ音を出さない音楽家が生まれたのか?
----優れた監督が選手の力を千倍にも生かす
第1章 「攻撃と守備」から考える
----危機管理という仕事
第2章 聴こえない音を振る
----音を出さない演奏家
第3章 リハーサルこそ真骨頂
----プロを納得させるプロ
第4章 「正しく直す」って何だろう?
----魅惑の「ズラシのテクニック」
第5章 言葉に命を吹き込む仕事
----「第九交響曲」の魂を訪ねて
第6章 片耳だけで聴く音楽?
----野生の両耳/知性の利き耳
第7章 「総合力」のリーダーシップ
----指揮者ヴァーグナーから学ぶこと
終章 夢を見る権利
著者紹介
伊東乾(いとうけん)
作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院情報学環・作曲=指揮・情報詩学研究室准教授。東京大学理学部物理学科、同修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。第一回出光音楽賞ほか受賞。創作・演奏の傍ら脳認知生理学に基づく音楽表現の国際基礎研究プロジェクトも推進する。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社文庫)で第四回開高健ノンフィクション賞受賞。他に著書『「笑う脳」の秘密!』(祥伝社)、『日本にノーベル賞が来る理由』『反骨のコツ』(團藤重光との共著、以上朝日新聞出版)ほか、CD『コギト・エルゴ・オーディオ 我聴く、ゆえに我あり』(ALM Records)など多数。