ハッタツショウガイカモシレナイ
2005年4月15日発売
定価:770円(税込み)
ISBN 978-4-334-03301-9
光文社新書
判型:新書判ソフト
発達障害かもしれない見た目は普通の、ちょっと変わった子
わがまま、自分勝手 友達付き合いができない
といわれるのは、なぜ?
高機能自閉症、アスペルガー症候群を知る、そして気づく
「正直言って、Bは育てにくい子どもでした。小学校のときはいつも喧嘩ばかりしていて、相手の親に謝ってばかりでした。それでBを叱るんですけど、Bは必ず自分が正しいと言い張るんですね。なんて勝手な子どもだと親ながら思いました。(中略)成績はまあ人並みなのに、親の言うことが全然理解できないことが、私たちにとっても不思議でした。親でさえこうなのだから、友達とうまくやっていけないのは当然かなと、半ばあきらめに近い気持ちで当時は毎日を過ごしていました」
(アスペルガー症候群の男の子を持つ母親の話/本文より)
◆2005年4月、発達障害者支援法施行
目次
プロローグ
理解されにくい発達障害/悲惨な事件/ユニークかつ興味深い視点
第一章 軽度発達障害とはなにか
自閉症から派生した軽度発達障害/健診でも見落とされがち/五感の過敏性と状況への認知の歪み/私たちの視点は普遍的なものか/原初的な人間の形
第二章 自閉症、高機能自閉症の基礎知識
心を閉ざしているわけではない自閉症――「三つ組」の障害/自閉症の発見/自閉症の診断基準/高機能自閉症とアスペルガー症候群の厳密な区別は困難/一〇〇〇人あたり二人から六人
第三章 アスペルガー症候群の基礎知識
自閉症ではないけど、三領域に障害を持つ子ども/二通りの名称/広汎性発達障害と自閉症スペクトラムの違い/一〇〇人に一人が自閉症スペクトラム
第四章 高機能自閉症、アスペルガー症候群の症状
見えるものが違う?/頭の中は映像の洪水/見えないものは理解できない/ソーシャルスキルの欠如/「三つ組」の障害/(1)社会性の障害――四つのタイプ/(2)コミュニケーションの障害――四つのタイプ/(3)想像力の障害/高機能群の五感の過敏性/苦手なこと/得意なこと/サヴァン症候群/原因/心の理論/自閉症スペクトラムは増加しているのか
第五章 LD、ADHDと軽度発達障害
高機能群とLD、ADHDの重複/二つあるLD/ディスクレシア(難読症、失語症)/ADHDとは/ADDとMBD/LD、ADHDの患者数――六・三%/LDと知的障害の違い/LD、ADHDの原因は何か/LDと自閉症スペクトラムの違い/ADHDと自閉症スペクトラムの違い/LDの心の世界/ADHDの心の世界/LDの治療――個別指導/ADHDの治療――環境調整と薬物療法
第六章 軽度発達障害の実際のケース
作業所でパンを焼く高機能自閉症のA君(一九歳、男性)/サッカーが大好きなアスペルガー症候群のB君(一六歳、男性)/割り算ができないLD(算数障害)のC君(九歳、男子)
第七章 軽度発達障害を治す
いかにして関係性を築くか/お互いの意思を伝えるには/執着行為への対応/薬の有効性/行動療法の有効性/会話を円滑に行うには/時間と空間を理解するためには/親はどう対応すべきか/いつ病名を伝えるか/早期の療育の有効性――知的能力の高さと安定就労は一致しない/いじめと被害妄想――早期療育の効果を損なうもの/友人関係と恋愛関係/就職と結婚/非行と犯罪
エピローグ
参考文献