Top Interview 02
いまの出版業界に起こっている変化、
そして光文社に起こっている変化は?
コンテンツのマルチユース化に
もっともっと対応していく必要がある
これから先の出版業界や光文社についても伺えればと思います。出版社の置かれている状況について、どう見ているかをお話しいただけますか。
巴 まず、昭和からずっと続いている出版社のビジネススタイルというものが、業界的に厳しい状況になっていることは事実。それでも、良質な出版物をどんどん読者に届けていくには、コンテンツのマルチユース化にもっともっと対応していく必要がある。プリントの出版物で読んでくださる方がいて、一方ではデジタルでコンテンツを読む人も増えている。テキストや静止画でなく、動画や音声で見たい・聴きたいという人もいる。さらには、検索をして、自分の求める情報だけを見たいという人もいる。いろいろな人がいて、世の中が大きく変わっている。たとえば、映画『ブラック・ショーマン』を見て、「原作を読みたい」と思ってもらえれば、いままで本を読まなかった人たちが本にふれてくれる機会につながる。さらに目を広げれば、日本の出版物・コンテンツは海外でも需要がある。だから、日本にとどまらず、世界のいろいろな生活習慣や宗教観などの特徴を持つ人々を意識したコンテンツづくりをしていくことも大事。つくり方をひとつの方法論に限定するのではなく、いろんな方法論でアプローチをかけていって、いまの読者に見合うタッチポイントをつくるということが大切になっていきます。
出版社の置かれている状況についてお伺いしましたが、光文社に絞って考えるといかがでしょうか。
巴 女性誌は、紙の雑誌という形でブランディングをするということは間違いなく必要。ただ、これからの時代、紙だけでいいかと言ったら違う。たとえば「VERY」であれば、世界観を紙の雑誌できっちりブランディングして、それに付随してWebメディアで補完する。さらにSNSも拡充していく。そして、動画でも見たいという方に向けてもきちんとアプローチをする。そして先日、30周年記念のイベント「VERY FES」を開催したように、リアルの場で読者と出会い、ファンになってくれた人をキャッチし続けていく。女性誌には、今後こういう取り組みが必要。「光文社ドクチョー総研」という組織を、IDビジネスのために立ち上げたのも、この取り組みのひとつです。
こと週刊誌で言えば、やっぱり新聞社でもテレビ局でもネットニュースでもない、信頼に足る雑誌らしいジャーナリズムというものがあるはず。いまは携帯さえあればいろんなニュースサイトでニュースはいくらでも拾える状況。一次性のニュースを見たいのか、ニュースの裏側にあるものが見たいのか、しっかりとした取材のされている論拠に基づくものが見たいのか。世の中の人がどう情報をキャッチアップしたいのかということを探っていなかなければならない。「女性自身」「FLASH」には、ジャーナリズムのある雑誌としての、社会に向き合う厳しい目のメディアとしての役割がある。
書籍で言うと、成長しているジャンルに児童書やライトノベル、コミックがある。冷静にいまの出版市況を見渡して、光文社がまだまだ取り組めるものやマーケットがあるものに対してものづくりをしていくということが必要になるし、今後も力を入れていきます。