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チイサナチイサナワガコヲミトル
2013年4月17日発売
定価:1,760円(税込み)
ISBN 978-4-334-97736-8
ノンフィクション、学芸
判型:四六判ソフト
ちいさなちいさなわが子を看取るNICU「命のベッド」の現場から
かなえちゃんの目は、誰かがその瞬間を確認したわけではないが、次第に閉じていった。しおりさんや英治さんは、ファミリールームに入ってから、かなえちゃんを見つめつづけていたはずだったのだが、その両親でさえ、「閉じる瞬間」を確認できないほど、自然に、ゆっくりと、その目は閉じられていった。しかし、閉じたと思っていても、角度によっては、うっすらあけているようにも見える。まるで、周囲を最後まで見わたしているかのように。そのたびに「わあ、かなえちゃん、やっぱり笑っているよ」と誰かが指摘し、「そうだね、本当にいい顔になってきたね」と誰かが応じた。
(本文より)
NICU(新生児特定集中治療室)の取材をはじめた著者が出会った、生後5カ月の小さな命。身体にたくさんの障害をかかえ、家族は、もう治療法がないことを告げられる。NICUのベッドは、いつも満床。助けられる命も、受け入れられないことも多い。大事なベッドはリレーのように、新生児の命をつないでいる。
そのNICU一角。絶望と希望が交錯するなかで、家族が悩み、感じ、そして選んだこと――。
ちいさなちいさな命を看取るまでの、ある家族の物語。
どこまで生かすのか。
どう、見送るのか……。
かなえちゃんと家族の、
涙と笑顔の199日。
目次
はじめに
プロローグ
命のベッド、命のリレー 第1部
誕生
願い
限界
取材(NICUへ)
苦悩
無謀
出会い
依頼
昏睡
ご褒美
覚悟
青空
着信
自由
出発
やりすぎの医療でもなく、
やらなさすぎの医療でもなく 第2部
ベッドのリレー、その後
NICUを出た、その先
小児の「看取り」をめぐって
あとがき
著者紹介
川畑恵美子(かわばたえみこ)
1976年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京放送(TBS)入社。社会部、『NEWS23』などを経て、現在『報道特集』担当。