テ・鉄輪
京都の住宅街にひっそり佇む「鉄輪の井戸」。丑の刻参りで有名な「鉄輪の女」の臨終の地。
町家カフェ「サロン・ド・テ・鉄輪」では、この井戸水を使ったお薄やお菓子がふるまわれ、“悪縁を断ち切れる“とひそかな人気を呼んでいる。偶然「テ・鉄輪」に立ち寄った先生(センセ)は、女主人・関水キリの怪しい魅力の憑りつかれ、いつしか通い詰めるようになっていた。
無理心中したW不倫カップル、DV夫に捨てられ狂乱する女、愛人が次々殺される織屋の主人、わが子の死を受け入れられない骨董屋、幽霊画を描くため妻子を焼き殺した画伯・・・・・・
数々の切れない“縁”を断ち切るおぞましい光景を見せられたセンセは、魔都・京都の無限回廊に迷い込んでいく――