くれなゐの紐
祝言の前日に自殺を装ってまで姿を消した姉を追い、浅草にやってきた仙太郎は、六区を牛耳っているという男子禁制の少女ギャング団・紅紐団の団長・操につかまってしまう。姉を捜すため、特例での入団を志願する仙太郎に、操は厳しい入団試験を課した――。
子供ひとりでこの六区で生きていこうと思ったら、手段など選んではいられない。少年の仕事はかぎられるが、少女ならいくらでもある。花売りや玩具売りの少年など見たことがない。同じ子供でも、女のほうがより憐れで同情を誘いやすいし、警戒心を抱かせにくいのだ。そう気づいて、なかなか掏摸がうまくいかず空腹に耐えかねていた仙太郎は試しに女の服を着てみることにした。(本文より)