イリョウタンテイ「ソウゴウシンリョウイ」
2016年7月14日発売
定価:814円(税込み)
ISBN 978-4-334-03933-2
光文社新書
判型:新書判ソフト
医療探偵「総合診療医」原因不明の症状を読み解く
胸が痛いからといって心臓が悪いとは限りませんし、おなかが痛いからといって胃や腸が悪いとも限りません。たとえば「胸が痛い」場合でも、狭心症や心筋梗塞のこともあれば、肺塞栓や気胸のことも、胸膜炎や急性膵炎、胆石などのこともあります。診断が容易につかないこともあります。
正確な原因がわからなければ、適切な治療はできないのです。
私たち総合診療医の仕事は、まさにここにあります。患者さんの症状から原因を突き止め、適切な治療を行うこと。そして、複数の病気がある人に対しては、個々の病気を切り離して診るのではなく、病気の相互作用を考えながら全体を診ることです。(まえがきより)
目次
まえがき 医療探偵「総合診療医」とは?
第1章 やってくる患者は全員「病名不明」
1 [症例1] 1か月前から突如暴言、当日は会話が支離滅裂に……。
2 [症例2] 2日前に頭痛、夜には腹痛と下痢、昨日から熱も……。
3 私が「問診」を重視するわけ
4 1分で心をつかみ、3分聞き、「攻める問診」で謎を解く
第2章 診療の成否は、問診にかかっている
1 診療は顔を合わせた瞬間から始まっている
2 攻める問診で、まずは「現病歴」をはっきりさせる
3 その人ならではのバックグラウンド「空間軸」を知る
4 「診察」と「検査」で問診を補う
5 プロブレムリスト作成から鑑別診断へ
第3章 病気になったとき、総合診療をどう活用するか
1 治る認知症かどうかを、症状から見分ける
2 的確な診療を受けるために、患者ができること
3 信頼できる総合診療医はどこにいる?
第4章 医師も初めから上手な問診ができるわけではない
1 「ベッドサイド教育」で若手を育てる
2 私はこうして「総合診療医」になった
3 総合診療医と専門医はどう違う?
4 これからの日本と総合診療
著者紹介
山中克郎(やまなかかつお)
1959年三重県生まれ。85年名古屋大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院、名古屋大学病院免疫内科、バージニア・メイソン研究所、名城病院、名古屋医療センター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、藤田保健衛生大学救急総合内科教授・救命救急センター副センター長などを経て、現在は諏訪中央病院総合内科院長補佐。笑顔を絶やさない診察は評判で、いつしか「スマイリー山中」と呼ばれるようになった。「総合診療医 ドクターG」(NHK)などにも出演。共編書に『UCSFに学ぶ できる内科医への近道』(南山堂)、著書に『症状から80%の病気は分かる 逆引き みんなの医学書』(祥伝社黄金文庫)、共著に『ERの哲人――救急研修マニュアル』(シービーアール)などがある。