ニホンノイリョウカクサハ9バイ
2015年2月17日発売
定価:902円(税込み)
ISBN 978-4-334-03842-7
光文社新書
判型:新書判ソフト
日本の医療格差は9倍医師不足の真実
「日本の医療格差は9倍」の衝撃!
2013年(平成25年)1月、埼玉県在住の男性が、救急搬送の受け入れを合計36回も断られ、死亡するという事件があった。現在の日本において、医師の数は圧倒的な「西高東低」だ。その原因を著者は、医学部が西日本に偏在していることだと喝破する。人口約398万人の四国には4つの医学部があるが、人口約4260万人の関東には22の医学部しかない。人口当たりで見ると2倍近い差だ。国立大学医学部に限れば、5つの医学部しかない関東と、すべて国立大学である四国との差は9倍近くになってしまう――。日本の中に生まれたこの新しい「格差」は、戊辰戦争と明治政府、日本陸軍、そして田中角栄によって歴史的に作られてきた。東京大学医科学研究所特任教授で、報道ステーションなどテレビでコメンテーターとしても活躍する医師が、日本の医療と教育を斬る。
目次
はじめに――四国と関東の医療格差は9倍
第1章 野球と医師と西日本
第2章 日本「医学部」近現代史
第3章 大学を見れば「医師不足」がわかる
第4章 「医師不足」時代の医師たちへ
おわりに――大学の衰退は日本の没落である
著者紹介
上昌広(かみまさひろ)
東京大学医科学研究所特任教授(先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門)。医学博士。1968年兵庫県生まれ。1993年東京大学医学部医学科卒業。1999年東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了し、虎の門病院血液科医員、2001年~05年国立がんセンター中央病院薬物療法部医員を務める。2005年より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンス、メディカルネットワークを研究する。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC」編集長。著書に、『医療詐欺』(講談社+α新書)、『復興は現場から動き出す』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言』(蕗書房)がある。