ヤクタタズ、
2013年3月15日発売
定価:858円(税込み)
ISBN 978-4-334-03734-5
光文社新書
判型:新書判ソフト
役たたず、
だいじなことは、役にたたない。そして一見、役にたっているようにみえるものも、ひと皮むけば役たたず。役にたつことばかりしていると、暮らしも人も、痩せていく――。古風な下町感覚の文章を書きファンの多いエッセイストで、ここ最近は小説家としても頭角を現している石田千が、日常のなかで綴った「役たたず」の視点からの風景。二年あまりにわたる連載の途中では、大震災が起き、そのときの空気感も文章としてリアルに切り取られている。相撲好き、競馬好き、ビール好きの「町内一のへそまげちゃん」が、だいじにしたいもの。へなちょこまじめな日常記。
目次
I やちゃくちゃない日々
三段めの混沌/忘れて候/オスの乳首、メスのほくろ/マンネリ峠/
店長翌日/レバニラ炒めとタラ入りスープ/四十路女のブルース
II 手足、ぶらぶら
夏の日記/おはらい箱と、たからの山/絵ごころ文ごころ/
マンションから墓場まで/イガイタイガイ/新年ぶらぶら/
二十年さきの稽古
III 役に座す
またたきと松明/あのひと/さよならポンプ/しっかりしないで/
真夏の夜/ハイ、チーズ/役にたたない……
あとがき
著者紹介
石田千(いしだせん)
1968年福島県生まれ、東京都育ち。エッセイスト、小説家。國學院大學文学部卒。2001年、「大踏切書店のこと」で第1回古本小説大賞を受賞。2011年、「あめりかむら」が第145回芥川賞候補、2012年、「きなりの雲」が第146回芥川賞候補となる。おもな著書に、『月と菓子パン』(新潮文庫)、『踏切趣味』『屋上がえり』(以上、筑摩書房)、『店じまい』(白水社)、『並木印象』『踏切みやげ』『きんぴらふねふね』(以上、平凡社)、『平日』(文藝春秋)、『部屋にて』『みなも』(以上、角川書店)、『あめりかむら』『ぽっぺん』(以上、新潮社)、『きなりの雲』(講談社)、『山のぼりおり』(山と渓谷社)、『しろい虹』(ベストセラーズ)など多数。