ひとりフラぶら散歩酒
テレビでは、「知らない町を途中下車してぶらぶらする小さな散歩旅」みたいな番組が、いずれも長寿企画として人気を集めている。思うにそれは、ちょっとした贅沢であるからだ。
平日の昼日中、あのあたりいいだろうなあと思う場所をそぞろ歩くことは、やれそうでやれない一種の道楽だ。カネにならない上におよそ世の中の役に立たぬという点で道楽なのであるが、女道楽、着道楽をはじめ酒にギャンブルなど数多ある伝統的道楽に比較したとき散歩は実に安価だし、蕎麦打ちほど難しくない。かくなる上は、このまことに気楽な散歩という道楽に軽く一杯という要素を加えたなんともハードルの低い楽しみを、つらつらご紹介いたしたく思った次第。
(「はじめに」より)
目次
はじめに ハードルの低い道楽、散歩酒のススメ
高尾山~府中で骨酒とヒレ酒を、ちょいと一杯
世田谷界隈、あちこち歩いたら最後はホッピーだ!
三浦海岸~鎌倉、昼から飲む酒はたまらん
立川~国分寺、競輪とモツ焼きの至福の夕べだ
箱根湯本~本厚木、そば&ホルモン酒の午後
ちょっと酔ったね、久我山、西荻、吉祥寺
秋の甲州路を歩いた後のキノコと酒の至福
勝沼にワインを訪ね八王子の焼き鳥で締める
西浅草の焼きそば~神田のおでんへ
川崎~調布、多摩川渡る年末酒だ
新橋~有楽町、ひと駅酩酊散歩
神保町・後楽園、そして神楽坂
あきるの酒蔵巡りと居酒屋酒
著者紹介
大竹聡(おおたけ さとし)
1963年東京生まれ。大学卒業後、出版社、広告会社、編集プロダクションを経てフリーに。2002年『酒とつまみ』を創刊。著書に『中央線で行く東京横断ホッピーマラソン』『酒呑まれ』(いずれもちくま文庫)、『もう一杯!』(産業編集センター)、『今夜もイエーイ』『下町酒場ぶらりぶらり』(いずれも本の雑誌社)、『大竹聡の酔人伝』(双葉社)、『ぜんぜん酔ってません』(双葉文庫)、『愛と追憶のレモンサワー』(扶桑社)などがある。