フウヒョウヒガイ
2011年5月17日発売
定価:814円(税込み)
ISBN 978-4-334-03624-9
光文社新書
判型:新書判ソフト
風評被害そのメカニズムを考える
ドイツの社会学者ウルリヒ・ベックは『危険社会―新しい近代への道』の中で、現代は、富の分配が重要な課題であった産業社会の段階を超えて、科学技術によって作られる「危険」の分配が重要な課題となったと論じた。それは必ずしも、物理的な危険だけではなく、経済的な危険も含んでいる。
しかし、日本人は、そのリスクの負担をとことん回避してきた。「絶対的な安全」を追求し、少しでも危険といわれたものは避けてきたのである。その結果、ある食品や商品などを、科学的根拠もなく主観的に「安全でない」と見なして買うのを控える。こうして「風評被害」が生じる。
目次
第1章 風評被害とは何か
第2章 「放射能パニック」と風評被害・
第3章 原子力事故と風評被害
第4章 メディア報道と風評被害
第5章 安全と風評被害
第6章 流通と風評被害
第7章 観光産業と風評被害
第8章 企業・金融・保険と風評被害
第9章 東日本大震災における「風評被害」と「うわさ」
第10章 東日本大震災後の日本が抱えるジレンマ
終章 風評被害にどう立ち向かうか
著者紹介
関谷直也(せきやなおや)
1975年新潟生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。東京大学大学院人文社会系研究科社会情報専門分野修士課程修了。東洋大学社会学部准教授。2007年日本災害情報学会学術貢献分野・廣井賞受賞。2009年日本広報学会賞優秀研究奨励賞・日本広告学会賞学術部門賞受賞。専門は災害情報・環境情報の社会心理、安全社会論。著書に『環境広告の心理と戦略』(同友館)がある。