ニホンシノイッキュウシリョウ
2006年5月17日発売
定価:770円(税込み)
ISBN 978-4-334-03353-8
光文社新書
判型:新書判ソフト
日本史の一級史料
歴史は1秒で変わる!
歴史書を鵜呑みにしない「私の史観」を身につける
現在、われわれが知りうる歴史というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものです。現代に生きるわれわれは、織田信長の肉声を聞くことも、関ヶ原の戦いを目撃することもできません。すべては、残された史料をもとに、歴史家たちによって紡ぎ出された「歴史」なのです。ですから、固定された正しい歴史などというものはどこにも存在しません。歴史とは、新しい史料と新しい解釈によって、この一秒の間にも書き替えられ、更新されていくべきものなのです。
――本書では、「一級史料」を題材に、歴史家がどのように史料を読み、歴史を描き出していくのか探っていきます。そのうえで、教科書や歴史書の記述を鵜呑みにしない、自分なりの「歴史感覚」の身につけ方を学んでいきます。
目次
はじめに 歴史は何によって描かれるのか?
第1章 有名時代劇のもと史料
1 宮本武蔵の一次史料はたったこれだけ
2 一次史料が豊富な「忠臣蔵」
第2章 歴史家は何をどう読む?
1 東京大学史料編纂所
2 史料集の編纂とは何をするのか?
3 歴史家の史料解読法
第3章 新しい史料を発掘する
1 歴史学の基礎を築く「史料採訪」
2 わたしの「史料採訪」
3 新しい研究の糸口を見つける
4 今でも集まってくる新史料
第4章 一級史料の宝庫「島津家文書」を読む
1 島津家の文書とともに死ぬのなら本望
2 一次史料だけで「歴史」が書ける
3 史料からしかわからない歴史
第5章 「歴史学」への招待
1 いろいろな一級史料に出会う
2 データベースから史料を探す
3 時代劇を見るための基礎知識
4 史跡散策の楽しみ方
おわりに 「歴史の感覚」を身につける
著者紹介
著者:山本博文
一九五七年岡山県生まれ。東京大学文学部卒業。八二年、同大学院修了。文学博士。現在、東京大学史料編纂所教授。『江戸お留守居役の日記』(講談社学術文庫)で第四十回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。日本近世史を専門とし、史料を丹念に掘り起こした著書には、『切腹』(光文社新書)、『殉死の構造』(弘文堂)、『江戸城の宮廷政治』(講談社学術文庫)、『島津義弘の賭け』(中公文庫)、『武士と世間』(中公新書)、『男の嫉妬』(ちくま新書)、『徳川将軍家の結婚』(文春新書)など多数がある。