ニホンシマタビキコウ
2005年3月17日発売
定価:858円(税込み)
ISBN 978-4-334-03299-9
光文社新書
判型:新書判ソフト
日本《島旅》紀行
海がきれい。空気がきれい。
都会に疲れた。静かな所で過ごしたい。
誰も知らない島へ――。
豊かさを実感できる機会は、人それぞれあるだろう。高額なものを身に纏い、贅沢なものを口にして、大仰な屋敷に住まう。それも豊かさかもしれない。しかし、高価な衣服や食べ物や住まいは、人生の飾りに過ぎない。そして、飾りだけでは本当の豊かさに辿りつけない。
島の一人旅をはじめて、いつしか三〇年以上の時が流れた。島は、人間とは生きることとはなにかを、ぼくに考えさせ教えてくれた。学んだことを一言で言い切ることは難しいが、人間誰しもその気になりさえすればどんな環境の許でも、豊かに生きてゆける可能性をもっているということ。もちろん金額や数値などでは表しようのない、人間が本当に必要とする豊かさだが。(本文より抜粋)
◆「こんな時に、お茶もなんじゃから」
気がつくと缶ビールが開けられていた。縁側で日向ぼっこをしながら飲んだ。午前中のビールがすかさず全身に染みわたる。もう二度と訪れないであろう定期船もない小島で、さっき知り合ったばかりの島人と酒を酌み交わしているのは、不思議で幸せな気分だった。孤島の時の流れは静かだがゆとりがあった。
目次
まえがき
第1章 こんな顔もあったんだと思った島
礼文島(北海道)、寒風沢島(宮城県)、屋久島(鹿児島県)、西表島(沖縄県)
第2章 島人はどんな暮らしをしているんだろう
厚岸小島(北海道)、櫃島(山口県)、戸島(高知県)、オーハ島(沖縄県)
第3章 大自然の恵みにどっぷり浸る
天売島(北海道)、蓋井島(山口県)、福江島(長崎県)、口永良部島(鹿児島県)
第4章 いるだけでなんだか寛(くつろ)いでしまう島
神島(三重県)、沖島(滋賀県)、松島(佐賀県)、奄美大島(鹿児島県)
第5章 ちょっと遠かったなあ?――絶海の孤島
御蔵島(東京都)、青ヶ島(東京都)、舳倉島(石川県)、新島(鹿児島県)、南大東島(沖縄県)
第6章 なにもないのにもう一度行きたい島
釣島(愛媛県)、保戸島(大分県)、屋形島(大分県)、水納島(沖縄県)
第7章 すべて美味しくいただきました
式根島(東京都)、真鍋島(岡山県)、魚島・高井神島・豊島(愛媛県)、竹島(鹿児島県)
第8章 みんなどうもよく知らない謎の島
前島・笠佐島(山口県)、鵜来島(高知県)、神集島(佐賀県)、飛島(長崎県)、軍艦島(長崎県)
あとがき 【初出一覧】
【巻末付録1】本書に掲載した島のデータ一覧
【巻末付録2】地域別MAP(1)-(8)